経営改善計画書とは?|金融機関から求められたときの対応と書き方
金融機関から「経営改善計画書を作ってほしい」と言われたら、どうすればいいのか。経営改善計画書の目的・構成・作成のポイントを中小企業診断士がわかりやすく解説します。
「銀行から経営改善計画書を提出するよう言われたが、何を書けばいいか分からない」
「計画書を作ったことがなく、どの専門家に頼めばいいかも分からない」
「資金繰りが厳しく、早めに対策を取りたいが何から始めればいいか」
経営改善計画書の作成依頼は、金融機関から突然通知されることが多く、初めて直面する経営者にとっては大きな不安を伴います。しかし、適切に対応することで、金融機関との関係を維持しながら経営を立て直すことが可能です。
本記事では、中小企業診断士として多くの経営改善・事業再生支援を行ってきた立場から、経営改善計画書の基本と作成のポイントを解説します。
経営改善計画書とは何か
経営改善計画書とは、業績が悪化した企業が「今後どのように経営を立て直すか」を文書化したものです。金融機関が融資の条件変更(リスケジュール)や追加融資を検討する際に、返済の実現可能性を判断するための資料として活用されます。
金融機関が経営改善計画書を求める主なケース:
- 売上の大幅な減少が続いている
- 赤字決算が続いている(2期以上の連続赤字)
- 借入金の返済が困難になってきた
- リスケジュール(返済条件の変更)を申し出たとき
- 新たな融資を申し込んだが審査が通りにくい状況
計画書の提出を求められたからといって、すぐに融資が打ち切られるわけではありません。誠実に対応することが、金融機関との信頼関係を維持する上で重要です。
経営改善計画書に盛り込むべき内容
一般的な経営改善計画書には、以下の項目が含まれます。
1. 現状分析(経営の問題点の把握)
売上・利益の推移、資金繰りの状況、主要コストの内訳など、現在の経営状況を数字で示します。「なぜ今の状況になったか」という原因分析も含めます。
2. 経営改善の具体的な施策
売上を回復・拡大するための施策(新規顧客開拓・商品改善など)と、コスト削減・固定費の見直しなど、両面から具体的なアクションプランを記載します。「何を・誰が・いつまでに・どれだけ」の形式で書くことが重要です。
3. 数値計画(3〜5年の見通し)
売上・費用・利益・借入返済の見通しを、月次または年次で示します。楽観的すぎる数字ではなく、根拠のある現実的な計画が求められます。
4. 資金繰り計画
月次の資金の入出を見通した「資金繰り表」は、金融機関が最も重視する資料の一つです。返済を継続できるかどうかの判断材料になります。
5. モニタリング計画
計画の進捗をどのように確認・報告するかを記載します。四半期ごとに金融機関へ報告する体制を示すことで、誠実さをアピールできます。
計画書作成で失敗しやすいポイント
経営改善計画書の作成では、いくつかの失敗パターンがあります。
根拠のない楽観的な数値計画:「来年は売上を30%増やす」という計画は、根拠がなければ金融機関の信頼を逆に損ないます。市場データ・過去実績・具体的な施策との整合性が取れた数字が必要です。
施策が抽象的すぎる:「営業を強化する」「コストを削減する」という表現だけでは不十分です。「新規顧客を月2社開拓する」「外注費を毎月10万円削減する」という具体的な内容が必要です。
資金繰り計画が甘い:売上の回収タイミング・支払いのサイクルを正確に反映しないと、黒字倒産のリスクを見落とします。月次の入出金を細かく試算することが重要です。
専門家に依頼しないで作成する:複雑な財務状況の場合、専門知識なしに作成すると、金融機関の評価が得られない計画になることがあります。中小企業診断士・税理士・認定支援機関の活用をおすすめします。
認定支援機関の活用:費用支援も受けられます
経営改善計画書の作成は、「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」に依頼することで、中小企業庁の「経営改善計画策定支援事業(405事業)」を活用できます。
この制度では、認定支援機関に依頼した計画書策定費用の3分の2(上限200万円)が補助されます。費用面の心配がある場合でも、専門家支援を受けやすい仕組みが整っています。
中小企業診断士は認定支援機関として登録していることが多く、経営改善計画の策定から金融機関との交渉支援まで一貫して対応できます。
よくある質問
Q. 経営改善計画書を提出すると、融資の打ち切りになりますか?
A. 計画書の提出自体が融資打ち切りの理由にはなりません。むしろ、誠実に現状を開示し具体的な改善策を示すことで、金融機関との信頼関係を維持できます。提出を求められたら早めに対応することが重要です。
Q. 税理士に頼むのと中小企業診断士に頼むのはどう違いますか?
A. 税理士は財務・税務の専門家ですが、事業戦略・販路開拓・業務改善の提案は専門外のことがあります。中小企業診断士は経営全般の改善を専門とするため、売上回復施策の具体化や補助金活用など、より幅広い支援が期待できます。連携して対応することも一般的です。
Q. どのくらいの期間で計画書を作成できますか?
A. 財務データが整っていれば、2〜4週間での作成が目安です。資料収集や数値の確認に時間がかかる場合は、金融機関に事前に提出時期を相談しておくとよいでしょう。
当事務所では、経営改善計画書の作成支援から金融機関との交渉サポートまで、認定支援機関として対応しております。資金繰りや銀行対応でお悩みの方は、お早めにご相談ください。