電子帳簿保存法2025年対応ガイド|中小企業が最低限やるべきこと
2024年1月から電子帳簿保存法の宥恕措置が終了し、電子取引データの電子保存が義務化されました。中小企業が今すぐ対応すべき内容と、低コストで始められる方法を解説します。
「電子帳簿保存法への対応が必要と聞いたが、具体的に何をすればいいか分からない」
「紙での保存を続けているが、法的に問題があるのか心配」
「クラウド会計を使っているが、それだけで対応できているのか不安」
2022年の改正電子帳簿保存法(電帳法)の完全施行から、2024年1月以降は猶予期間も終わり、多くの中小企業で対応が急務となっています。しかし「難しそう」「コストがかかりそう」というイメージから、後回しにしている事業者も少なくありません。
本記事では、中小企業診断士として多くの企業のDX・IT化支援を行ってきた立場から、中小企業が最低限対応すべきことを実践的に解説します。
電子帳簿保存法の3つのルールを理解する
電帳法には大きく3つのルールがあります。それぞれの対象と義務の違いを理解することが第一歩です。
1. 電子帳簿等保存(任意対応)
会計ソフトや表計算ソフトで作成した帳簿・書類を、電子データで保存する制度です。現在は任意対応のため、紙での保存も引き続き認められます。
2. スキャナ保存(任意対応)
紙で受け取った領収書・請求書などを、スキャナやスマートフォンで電子化して保存する制度です。一定の要件(解像度・タイムスタンプなど)を満たす必要があります。
3. 電子取引データの保存(義務対応)
これが中小企業にとって最重要です。 メール・ウェブサービス・EDIなど、電子でやり取りした請求書・領収書・契約書などは、電子データのまま保存することが義務付けられています。印刷して紙保存することは認められません(2024年1月以降)。
最低限対応すべきこと:電子取引データの保存
2025年時点で全ての事業者が対応しなければならないのは「電子取引データの保存」です。以下のものが対象になります。
対象となる電子取引の例:
- メールで受け取った請求書・領収書(PDF添付を含む)
- Amazon・楽天などのECサイトの購入履歴・領収書
- クラウドサービス(freee・マネーフォワード等)の利用料明細
- インターネットバンキングの振込明細
- アプリ内の領収書(Uber Eatsのレシートなど)
保存の要件(真実性と可視性の確保):
- データを改ざんできない状態で保存すること(タイムスタンプ付与、または訂正削除の記録が残るシステムの利用)
- 検索できる状態で保存すること(日付・金額・取引先で検索可能)
- 保存期間は法人7年・個人事業主5〜7年(消費税の関係で注意が必要)
具体的な対応方法:低コストから始められる
電帳法対応には、大きなコストをかけなくても対応できる方法があります。
方法1:クラウド会計ソフトを活用する(月額1,000〜3,000円程度)
freee・マネーフォワードクラウドなどのクラウド会計は、電帳法対応機能を備えています。領収書のスキャン・自動仕分け・保存が一体化しており、最もスムーズな対応方法です。すでに利用している場合は、電帳法対応の設定が有効になっているか確認しましょう。
方法2:専用フォルダによる整理保存(費用ゼロ)
税務調査時に担当者が全データをダウンロードして提出できる環境を整えることで、クラウドサービスなしでも対応できるケースがあります。ただし、要件の詳細は税理士に確認することをおすすめします。
方法3:文書管理システム・電帳法対応ツールの導入(月額5,000円〜)
電帳法専用のクラウドサービス(invox・JIIMA認証製品など)を導入することで、要件を満たした保存が確実にできます。取引量が多い企業には特におすすめです。
対応していない場合のリスク
電子取引データの保存義務に違反した場合、どのようなリスクがあるでしょうか。
青色申告の取り消しリスク:電帳法の保存要件を満たさない状態で税務調査が入った場合、青色申告の取り消し処分を受ける可能性があります。青色申告特別控除(最大65万円)が失われるほか、欠損金の繰越控除も使えなくなります。
重加算税のリスク:意図的な不正とみなされた場合は、通常の追徴税に加え、重加算税(35〜40%)が課される可能性があります。
リスクを避けるためにも、早めの対応が重要です。
よくある質問
Q. 紙の領収書は電子化しないといけませんか?
A. 紙でやり取りした書類(対面で受け取った紙の領収書など)は、引き続き紙で保存することが認められています。義務化されているのは「電子でやり取りした取引」のデータ保存です。ただし、スキャナ保存(任意)を選択した場合は、紙の原本を廃棄できます。
Q. 個人事業主も対応が必要ですか?
A. はい、個人事業主も電子取引データの保存義務の対象です。インターネットで購入した際の領収書(PDF)や、メールで受け取った請求書なども対象になります。
Q. 今から対応を始めるのは遅いですか?
A. 2024年1月から義務化されているため、未対応であれば早急に対応を進める必要があります。まずは税理士・中小企業診断士に現状を相談し、優先度の高い対応から始めることをおすすめします。
当事務所では、電子帳簿保存法への対応支援から、クラウド会計の導入・活用サポートまで幅広くご支援しております。「何から始めればいいか分からない」という方も、お気軽にご相談ください。