事例
製造業のAI活用事例|メール・共有フォルダー・基幹システムを読ませて案件を把握し、図面と強度計算まで
産業機械メーカー(大阪府)の事例です。営業のメール、共有フォルダーの書類、基幹システムのデータをAIに読ませて、案件の状況と収支を1枚にまとめました。図面作成や強度計算にもAIを使っています。AIに任せたことと人が決めたことを、実際の数字で紹介します。

当社の支援Codex・Grok Botの業務活用支援
この事例の要点
- 基幹システムは入れ替えず、全データ(約102万行)を平日の毎朝、業務アプリへ取り込んでいます。
- 営業のメールはAIが毎朝読み、商談の進み具合を記録します。基幹システムで確定した受注は、メールの推測で書き換えません。
- 共有フォルダーの資料6,913ファイルと基幹システムのデータを読ませ、案件の状況と収支をHTMLの1枚にまとめました。
- 図面と強度計算は、打ち合わせから2日で一次評価まで進めました。実機の条件と最終の安全判定は設計者が決めます。
会社と、困っていたこと
産業機械を設計・製造し、納めた機械の点検・修理・部品の販売も行う会社です。社員は営業も設計担当も、AIを毎日の仕事の道具として使っています。始める前は、次のことに困っていました。
- 商談の進み具合が営業のメールに散らばり、誰かが手で記録に書き写していた。
- 受注・出荷・売上は基幹システム、機械の台帳はExcelと、案件の情報が分かれていた。
- 見積書・点検報告・仕様書が共有フォルダーに大量にあり、書き方の決まりは担当者の頭の中にあった。
全体の仕組み:基幹システムはそのまま、AIが読んで結ぶ
| 情報のありか | AIに読ませたもの | できたこと |
|---|---|---|
| 基幹システム | 受注・出荷・売上などの全データ(337の表、約102万行) | 平日の毎朝、業務アプリへ取り込み |
| 営業のメール | 営業4人の受信メール | 商談の進み具合を判断し、記録を追加・更新 |
| 共有フォルダー | 見積書・点検の実例などの過去の資料6,913ファイル | 書類の流れと書き方の決まりを、図と表に |
| 図面・CADデータ | 古い2次元図面、3D CADのデータ、社内の図面の決まり | 3Dモデル、A3の図面、強度の一次計算 |
基幹システムへの入力は、これまでどおり社員が行います。AIは、入力済みのデータとメール・書類を読み、受注番号などでつなげて見えるようにする役です。
営業のメールから、商談の記録を毎朝更新する
営業4人のメールを、AI(Grok Bot)が平日の毎朝8時30分に読みます。どの商談の話かを探し、工程・段階・見積・次の期限を、商談の記録に追加・更新します。営業が自分で書くのは「営業メモ」だけです。
読み違いで記録を壊さないよう、AIが守るルールも決めました。
- 基幹システムで確定した受注・完了は、メールからの推測で前の段階に戻さない。
- 一部だけ出荷した案件や、数量が合わない案件は、完了にしない。
- AIが止まった時は、次の期限を過ぎた知らせが当社に届く。
共有フォルダーの書類を読ませ、仕事の流れを図にする
共有フォルダーから、見積書4,579、点検・整備の実例2,130など、6,913ファイルをAIで読み取りました。Excelは全シートのセルまで読み取り、どの書類からどの書類へ情報が渡るかを図にしています。
見積番号の付け方(5種類)や、点検報告での「交換済み」と「次に交換を勧めるもの」の区別など、担当者の頭の中にあった決まりも、書類から読み取って表にしました。
使っている書式の版、価格の例外、担当者の割り振りは、社員に確かめます。手書きの書き込みや印は、原本で確かめます。
案件の状況と収支を、HTMLの1枚にまとめる
案件ごとの売上と原価を見たいという相談を受け、基幹システム・業務アプリ・工事番号の台帳をAIに読ませて、受注番号でつながりを調べました。結果は、図・表・グラフを並べたHTML(ブラウザーで開く1枚の資料)にまとめています。
| 分かったこと | 数字 |
|---|---|
| 工事番号の台帳のうち、基幹システムの受注と番号が一致した行 | 328行中278行 |
| 新規の機械の受注のうち、原価が付いている受注(2023年以降) | 86件中73件(85%) |
| そのうち、社内の作業時間まで入っている受注 | 19件 |
社内の作業時間が入っていない案件は、そのまま集計すると粗利が実際より高く見えます。そこで、どの数字が確かで、どれが推定かを並べて表示する形にしました。1つの注文を複数の番号に分けた案件は、お客様の注文番号でまとめると、売上と原価がそろいます。
図面作成と強度計算:打ち合わせから2日で一次評価まで
設計の打ち合わせで、次の3つをAIで試すことになりました。打ち合わせの翌日までに、3Dモデル・図面・強度の一次計算を出しています。
| 作業 | AIに読ませたもの | できたもの |
|---|---|---|
| 古い2次元図面の部品を3Dに | 2次元図面(DWG) | 回転する部品の3Dモデル(図面の2案) |
| 3D CADの部品から2次元図面を作る | 3D CADのデータ、社内の図枠・図面の決まり・寸法の書き方の資料 | 社内の様式のA3図面(4つの図・28の寸法) |
| 機械を載せる架台の作図と強度検討 | 3D CADの架台のデータ、公開されている材料の資料 | 71部品の3Dモデル、A3図面3枚、強度の一次計算 |
強度計算では、計算に使う29の値を「資料から分かる値」と「仮に置いた値」に分けました。止まっている時の荷重64件と、運転中の振動6条件を計算し、検算もしています。基準を超えた箇所は、架台の図の上に示しました。
途中で、AIが元の図面と違う寸法で3Dにしていた所も見つかりました。元の図面と照らし合わせる確認は欠かせません。
AIの計算は、仮に置いた値による一次評価です。載せる機械の重さや重心など実機で決まる値、製作してよいか、最終の安全判定は、設計者が決めます。
設計担当も、自分の計算書をCodexに読ませ、次の案件の計算に使っています。元の計算書と全件が一致することは、当社が確かめました。
AIに任せたこと、人が決めたこと
| 仕事 | AIに任せたこと | 人が決めたこと |
|---|---|---|
| 商談の記録 | メールを読み、進み具合を判断して記録する | 営業メモ、お客様とのやり取り |
| 案件の収支 | 番号でつなぎ、確かな数字と推定を分けて示す | 集計の決まり、どの数字を使うか |
| 書類の整理 | 全ファイルを読み、流れと決まりを図と表にする | 使う版、例外の扱い |
| 図面・強度 | 3D化、作図、一次の計算と検算 | 実機の条件、製作の承認、最終の安全判定 |
当社がしたこと
- 型式と仕様を選んで仕様書を作る仕組み(79型式)と、基幹システムのデータを平日の毎朝取り込む仕組みを作りました。
- 営業のメールをAIが読んで商談の記録を更新する仕組みと、AIが守るルールを作りました。
- 共有フォルダーの書類と案件の収支を調べ、HTMLの資料にまとめました。
- 図面と強度計算を、打ち合わせで決めた範囲で試しました。
- 設計担当向けに、Codexを使い始めるための手順一式を用意しました。
いまは、当社が作った仕組みに、社員が自分で改善を足し始めています。
よくある質問
基幹システムを入れ替えずに、AIを使えますか?
この会社では、基幹システムはそのまま使い、データを平日の毎朝、業務アプリへ取り込んでいます。AIは、取り込んだデータとメール・書類を読んで、案件のつながりを調べます。
AIで図面や強度計算は、どこまでできますか?
3Dモデル化、社内の様式での作図、仮の条件での一次計算と検算まではできました。実機の条件の決定と最終の安全判定は、設計者が行います。
AIがメールを読み違えて、記録を壊しませんか?
基幹システムで確定した受注や完了は、メールからの推測で書き換えないルールにしています。AIが止まった時は、期限切れの知らせが当社に届きます。
自社でClaude Code・Codexを使い始めたい方へ
1時間の相談(無料・オンライン)で、御社の業務のうちAIで改善できそうなところを一緒に洗い出します。後日お渡しするのは、改善できそうな業務を3つまとめた1枚の資料です。
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